ETFの買い方 – 初心者のためのETF入門
- 目次
- 1.ETF(上場投資信託)とは?
- 2.ETFの5つのメリット
- 3.ETFの注意点 -3つのリスク-
- 4.ETFの買い方とは?
- 5.初心者こそトライしたいETF
ETF初心者のためのETF買い方入門
ETFとは?
ETF…Exchange Traded Fund(上場投資信託)
ETFとは、正式名称を「上場投資信託」といい、証券取引所に上場している投資信託を指します。通常の株式と同じように、証券取引所のオープン時間内に売買され、それに伴い価格がリアルタイムで変動する点が特徴です(未上場の投資信託の場合はその日の運用成果や市場動向によって1日1回更新)。
また、日経平均株価やTOPIXをはじめとする様々な「指数」に連動する点もETFの特徴の一つ。たとえば、日経225連動型のETFであれば、日経平均株価を構成する株式225銘柄を組み入れることによって、両者の値動きがほぼ同じになるよう設計されています。
ETF初心者のためのETF買い方入門
ETFの5つのメリット
ETFのメリット1
分散投資ができる
ETFの最大のメリットは、一つの商品で分散投資ができる点です。たとえば、日経225連動型のETFであれば「日本株全体」、NYダウやS&P500連動型のETFであれば「米国株全体」に投資することと、ほぼ同じ意味を持ちます。投資対象も株式(国内、海外)、債券(国内、海外)、コモディティ(商品=金、石油、プラチナetc.)、REIT(不動産投資信託)、各国の通貨などバリエーション豊富。たとえば、日本と海外、株式と債券といった投資対象の異なるETFを組み合わせるだけで、異なる市場への分散投資が可能になります。
ETFのメリット2
個別銘柄への投資と比較するとリスクが低い
指数に連動するETFは、個別の株式銘柄への投資と比較すると、価格の大幅なアップダウンが少なく値動きが安定しています。また、ETFが連動するそれぞれの指数は、日本をはじめとする各国の代表的な経済指標であることが多く、日々の変動や今後の展開に関する情報も豊富。個別の株式銘柄と比較して投資判断がつきやすい点もメリットです。
ETFのメリット3
信託報酬が安い
信託報酬とは、投資家が投資信託の運用会社に支払う運用手数料です。ETFも投資信託である以上、信託報酬は発生しますが、未上場の投資信託と比較すると低コストで運用されています。その理由は、ETFが証券取引所で売買されており、未上場投資信託のように商品の販売を販売会社(証券会社・銀行など)に委託する必要がないためです。販売会社への販売手数料が不要となるぶん、ETFの信託報酬は、未上場投資信託よりも抑えられているケースが一般的です。
ETF(上場投資信託)とインデックスファンド(未上場投資信託)の信託報酬を比較
ETF (上場投資信託) |
インデックスファンド (未上場投資信託) |
|
---|---|---|
銘柄名 | 日経225連動型上場投資信託 | 野村インデックスファンド・日経225 |
連動する指数 | 日経平均株価(日経225) | |
信託報酬 2021年3月16日時点 |
年0.22% | 年0.44% |
運用会社 | 野村アセット・マネジメント |
ETF(上場投資信託) | インデックスファンド (未上場投資信託) |
|
---|---|---|
銘柄名 | TOPIX連動型上場投資信託 | 野村インデックスファンド・TOPIX |
連動する指数 | TOPIX | |
信託報酬 2021年3月16日時点 |
年0.11% | 年0.44% |
運用会社 | 野村アセット・マネジメント |
ETF(上場投資信託) | インデックスファンド (未上場投資信託) |
|
---|---|---|
銘柄名 | iシェアーズ・コア TOPIX ETF | iシェアーズ 国内株式インデックス・ファンド |
連動する指数 | 日経平均株価(日経225) | |
信託報酬 2021年3月16日時点 |
年0.06% | 年0.3575% |
運用会社 | ブラックロック・ジャパン |
ただし、信託報酬は個々の銘柄による差が大きく、最近では未上場投資信託の中にもETF並みに信託報酬の安い商品が出てきています。信託報酬はそれぞれの投資信託の目論見書に記載されているので、買う前にどの程度のランニングコストが必要になるのか必ずチェックしておきましょう。
ちなみに上記でご紹介したETFやインデックスファンドは、ネット証券での購入がおすすめです。SBI証券や楽天証券であれば、上記でご紹介した以外にも様々なETFやインデックスファンドを取り扱っているので、興味がある方はチェックしてみましょう。
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ETFのメリット4
少額からの投資が可能
ETFの売買単位は最低1口からと小さく、安いものでは数千円から1万円前後で買うことができます。100株や1000株単位での取引となる株式銘柄と比較すると、少額からの投資が可能です。
ETFのメリット5
運用成果によって分配金が支払われる
株式、債券、REITを投資対象とするETFは、運用の成果により分配金を受け取ることができます。分配金とは、ETFに組み入れられている株式や債券などの収益(配当・受取利息等)から、支払利子や信託報酬等を差し引いた額となり、権利確定日までETFを保有していることで受益権利が確定します。
ちなみに、ETFはNISA(少額投資非課税制度)の非課税投資枠を利用できるため、NISA口座で保有するETFの分配金には税金が発生しません。ただし、分配金をETFに再投資する場合、NISAの非課税枠の上限を超えてしまうケースがある点には注意が必要です。※証券会社によってはETFの分配金の再投資をNISA以外の口座(特定口座および一般口座)に限定しているケースもあります。
ETF初心者のためのETF買い方入門
ETFの注意点 -ETFを買う際に知っておきたい3つのリスク-
ETFのリスク1
価格変動リスク
ETFは株式や投資信託と同じく、元本保証のない金融商品です。そのため、連動する指数の変動や、組み入れ有価証券の価格変動、金利や為替などの市場動向によっては元本割れが起きるケースも。
ETFの価格変動リスクを抑えたい場合は、買う際に「株式」と「債券」など市場での値動きが逆になる指数を組み合わせることでリスクをコントロールすると良いでしょう。
ETFのリスク2
流動性リスク
ETFのもう一つのリスクは、売買不振によって上場廃止となるケースがある点です。取引高の少ないETFは運用会社がコストを回収できずに上場を取り下げることがあるので、初心者がETFを買う場合は取引高にも注目しましょう。
※ただし、ETFは指数を構成する複数の銘柄を原資産として保有しており(純資産総額)、上場廃止となった場合もそこから現金または現物(株式や債券など)として償還が行われるため、投資額がゼロになることはありません。償還される額はそれぞれのETFの「基準価額」をもとに決められています。
ETFのリスク3
為替変動リスク
海外の市場において、外貨建てで取引されるETFは、為替の変動によって評価額が影響を受けます。たとえば、NYダウ平均株価(米国の株価指数)に連動する米ドル建てのETFを購入し、NYダウが前日比5%上昇した場合でも、同じタイミングで円高ドル安が4%進めば、上昇率は約1%程度にとどまります。
為替変動リスクを抑えたい場合は、投資先(ETFが取引される市場)を日本国内、あるいは先進国地域に絞ると良いでしょう。とくに、米国市場は日本国内よりもETFの取引高において市場規模が大きいため、資産の分散(通貨の分散)という意味でも魅力的な投資先の一つです。
ETF初心者のためのETF買い方入門
ETFの買い方とは?
ETFは株式と同様に証券会社経由で買うことができます。購入価格をあらかじめ指定する「指値注文」、リアルタイムの取引価格で購入する「成行注文」など、通常の株式と同じ注文方法が可能です。
ネット証券であればWebサイト上からワンクリックでETFの購入ができ、売買手数料も店舗型の証券会社と比較して安く設定されています(証券会社によっては無料の場合も)。
ETFを買う場合にチェックしたいのは、以下の2つ。
ETFを買う際のチェックポイント1
売買手数料と信託報酬
ETFを買う際にもっとも重視したいのが、売買手数料・信託報酬などの投資にかかるコストです。 ETFの売買手数料は、証券会社によって異なります。おすすめしたいのが、低コストで取引できるネット証券を活用する方法。ネット証券の中には、売買手数料無料のETFを取り扱う証券会社や、NISA口座経由で購入することでETFの売買手数料が無料になる証券会社もあり、ETF投資の初期費用を抑えることができます。
一方、信託報酬はETFごとに設定されており、それぞれのETFの目論見書で確認が可能。同じ指数に連動するETFであっても、銘柄や運用会社によって信託報酬が異なるケースがあるため、購入時は複数のETFを比較すると良いでしょう。
ETFの購入におすすめの証券会社
SBI証券
国内トップクラスの人気を誇るネット証券会社。楽天証券と同様に、SBI証券のNISA口座を経由すると、国内ETFの売買手数料と、海外ETFの買い付け手数料の両方が無料になる。また、SBI証券は株の売買手数料の安さにも定評があり、1回の約定金額が5万円未満の場合、手数料は54円(税込)という低コストを実現。証券口座を新しく作る場合、利用して損はない証券会社。
- NISA口座での買付手数料無料…NISA口座経由での国内ETF(買付、売却)、海外ETF(買付)が手数料無料 おすすめ!
コース・プラン | スタンダードプラン |
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売買手数料(1注文の約定金額) |
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楽天証券
楽天グループの証券会社。楽天証券でNISA口座を開設し、その口座を経由してETFを購入すると、国内ETFの売買手数料が全て無料になる。また、海外ETFを購入した際の手数料もキャッシュバックされるので、どのETFを購入する場合も、お得に取引できる点は、チェックしておきたい。
- NISA口座での買付手数料無料…NISA口座経由での国内ETF(買付、売却)が手数料無料、海外ETF(買付)手数料全額キャッシュバック おすすめ!
コース・プラン | 取引毎手数料コース |
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売買手数料(1注文の約定金額) |
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カブドットコム証券
三菱UFJフィナンシャル・グループの証券会社。カブドットコム証券は、ETF売買の手数料が安くなるサービスが充実。例えば、「フリーETF」は、対象銘柄すべての売買手数料が無料になり、お得にETFを購入できる。その他にも、NISA口座経由のETF購入で手数料が割引される「NISA割」や、満50才以上の方がETFを購入すると手数料が割安になる「シニア割」などを用意しており、ランニングコストを大きく削減できるのが嬉しい。
- フリーETF…ETF13銘柄が売買手数料無料 おすすめ!
- NISA割…NISA口座の継続年数に応じて手数料を最大5%割引
- 女性割…女性の場合、現物株式の売買手数料1%割引
- シニア割…満50歳以上の場合、現物株式の売買手数料を2~4%割引
コース・プラン | インターネット通常手数料 |
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売買手数料(1注文の約定金額) |
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三菱UFJ国際投信「mattoco(マットコ)」
三菱UFJ国際投信は、日本で一番長い歴史を持つ投資信託運用会社。数あるETFの中でも、業界最低水準の手数料を実現しているeMAXIS Slim(イーマクシス スリム)の運用会社でもあり、他のネット証券では取り扱いのないETFも多数取り揃えている。
mattoco(マットコ)であれば、最低5,000円から投資をスタートすることができ、購入時の手数料は全て無料。eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)であれば、信託報酬も最低0.0968%という圧倒的な低コストで運用できる。
多くの商品がつみたてNISAにも対応しているので、ETFの購入にチャレンジしてみたいと考えている方であれば、ETF投資に特化した三菱UFJ国際投信の「mattoco(マットコ)」は、最適なプラットフォームと言えるだろう。
- NISA口座での買付手数料…無料 おすすめ!
- 取り扱う投資信託(ETF)の買付手数料 …無料
- 投資信託(ETF)の信託報酬 …0.0968%~0.22%
ETFを買う際のチェックポイント2
連動する指数との乖離(かいり)をチェック
ETFを買う際のもう一つのチェックポイントが、そのETFの「基準価額」と連動を目指す指数との乖離度合い(トラッキングエラー)です。トラッキングエラーの少ないETFほど運用会社の運用手腕が高いことを意味しています。
≪ ETFの3つの価格 ≫
- 1. 取引価格
- 証券取引所で売買される際のETFの価格。取引所が開いているあいだはリアルタイムで変動する。
- 2. 基準価額
- ETFが組み入れている資産を時価評価し、配当金や利子を加え、信託報酬などの経費を差し引いた「純資産総額」を、その日の口数で割って求める価格。1日1回、運用会社が発表。
- 3. 連動する指数(の価格)
- 日経平均株価(円)、TOPIX(ポイント)、NYダウ(米ドル)、S&P500(ポイント)など、ETFが連動を目指す指数(の価格)。
※「連動する指数(の価格)」は構成銘柄の時価額から導き出された理論上の合成値であるのに対し、「基準価額」は構成銘柄を実際に原資産として組み込んだ純資産総額から導かれており、両者が必ずしも一致するとは限らない。
※また、「連動する指数(の価格)」は取引所における構成銘柄の売買により変動するが、取引所ではETF自体も売買対象として取引されているため「取引価格」と「連動する指数(の価格)」も乖離する場合がある。
コラム ETFでは積立ができる?
投資信託には、5,000円・1万円など一定額の投資信託を毎月購入する「投信積立」と呼ばれる投資手法があります。毎月一定額で投資信託を買い付けることによって、価格が下がっているときは多い口数、価格が上がっているときは少ない口数の投資信託を購入し、トータルの買付コストを抑える投資方法です。
ETFで同じような積立投資をする場合は、「るいとう」を利用する方法があります。また、最近ではAI(ロボアドバイザー)を利用した自動運用やつみたてNISAを利用して、ETFの積立投資が行われるようになってきました。
- るいとう(株式累積投資)を利用したETF積立
- 「るいとう」は正式名を「株式累積投資」と言い、毎月一定の金額で自動的に株式を買い続けていく投資手法。るいとうを利用した積立は、投資信託と同じく買付コストを抑える働きがありますが、ETFの場合はノーロード(販売手数料無料)の銘柄がほぼないため、買付時に手数料がかかるというデメリットがあります。カブドットコム証券が取り扱う「プチ株積立」では、2万円以下の積立の場合で初回100円、最小50円の手数料でETFを積み立てていくことができます。
- ロボアドバイザーを利用したETF積立
- AIによる自動運用では、現在、WealthNavi(ウェルスナビ)とTHEO(テオ)+ docomoという2つのロボアドバイザーがETF積立に対応しています。手数料は、いずれも預かり資産の1.08%(税込)で、月額1万円から積立が可能。こちらは、自動で買付を行ってくれるだけでなく、投資家のリスク許容度に合わせてETFの銘柄や投資対象を自動で選別し、運用結果に応じた調整も行います。WealthNavi(ウェルスナビ)は米国上場ETF、THEO(テオ)+ docomoは30種類の海外ETFを扱っているため国際分散投資も可能。ETFの銘柄選びに迷う場合や、投資にかける手間と時間を節約したい場合は、利用を検討してみると良いでしょう。
- つみたてNISAを利用したETF積立
- 2018年1月から始まった「つみたてNISA」制度は従来のNISAと同様、金融商品の分配金や譲渡益が非課税になる制度です。対象となる金融商品は、原則的に「投資信託」となりますが、一部のETF銘柄も対象となっています。(例:ダイワ上場投信-トピックス、ダイワ上場投信-日経225、ダイワ上場投信-JPX日経400)
現在までのところ、つみたてNISAの対象ETFは、すべて日本の株式指数に連動するタイプとなっています。日本株メインで投資する場合は候補となりますが、債券や海外株式などと組み合わせて分散投資をしたい場合は、つみたてNISAのみで対応することは困難。その他のつみたてNISA対象商品(投資信託)と組み合わせての運用がおすすめです。
≪ ETFの積立ができる証券会社&ロボアドバイザー ≫
カブドットコム証券(プレミアム積立・プチ株)
口座管理費用 | 無料 |
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ETF売買手数料 |
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運用手数料 | ― |
買付単位 | 毎月500円以上1円単位 おすすめ! |
WealthNavi(ウェルスナビ)
口座管理費用 | 無料 |
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ETF売買手数料 | 無料 おすすめ! |
運用手数料 | …預かり資産3,000万円まで:預かり資産の1.1%(現金部分を除く、年率・税込) …預かり資産3,000万円超:預かり資産の0.55%(現金部分を除く、年率・税込) |
買付単位 | 月々1万円以上 |
THEO(テオ)+ docomo
口座管理費用 | 無料 |
---|---|
ETF売買手数料 | 無料 おすすめ! |
運用手数料 | 預かり資産の1.10%(税込) |
買付単位 | 月々1万円以上 |
ETF初心者のためのETF買い方入門
初心者こそトライしたいETFによる長期分散投資
「ETFの買い方」いかがでしたでしょうか?
投資信託でありながら証券取引所で売買できるETFは、分散投資という投資信託のメリットを持つ一方で、株式と同じく自由度の高い取引が可能なハイブリッド型の投資商品です。
個別の株式や投資信託と比較すると、日本国内ではまだ知名度が低く、初心者がETFから投資をスタートするケースはまれですが、分散投資・低コスト・情報源の豊富さなど、初心者向けのメリットをいくつも持っており、とくに長期投資を考えている投資初心者は挑戦する価値があります。
「投資を始めたいけれど、どのような投資商品が良いかわからない」「NISAの非課税枠内でできるだけ低リスクな分散投資をしたい」という初心者の方は、ETFを候補に加えてみてはいかがでしょうか。